RAKES(レイクス)は、佐賀県基山町にある100年以上続く酒蔵「基山商店」の四代目姉弟が、若い世代や女性にもっと日本酒に興味を持ってもらうために、現代のライフスタイルにマッチした日本酒ブランドとして誕生しました。
代々続く酒蔵の伝統と四代目蔵元姉弟の想いがシンクロした時、確かな変化をもたらしました。
紆余曲折を経て出来たRAKESブランド、誕生までの道のりと基山商店や酒造りについてブランドストーリーとしてお伝えします。
【伝統と歴史】
日本の歴史を大きく動かした明治維新。
西洋化や近代化で、時代の流れが大きく変わり始めたちょうどその頃、佐賀県基山村(現基山町)で小森初蔵をはじめとする数名の地主達によって酒造りは始まった。
その後、酒造場のすべてを引き受け、「基山商店」として明治・大正・昭和と激動の時代の中で、品質最優先で伝統の酒造りを今日まで継承し守り続けている。
すべては、「地元の人に旨い酒を飲んでもらいたい」という一心で。
【酒造りの土地】
基肄(きい)城後をはじめ、数多くの神社仏閣がある歴史深い町「基山」。
地理的に古くから交通の要所で賑わいをみせていたにも関わらず、流れる時間、風景はどこか懐かしくタイムスリップしたような秘境の地。
町の3分の2以上が丘陵地で、豊かな自然に囲まれ、そこに住む人たちが集い、ふれあい、助け合い、自然と共生しながら昔からの伝統的な文化を受け継いでいる。
背振山系を背にした基山は、山々から流れてくる良質な水があり、米作りも盛んだ。日本酒造り欠かせない上質な酒米もたくさん作られている。
冬になると、雪が積もるほど気温がぐっと下がり空気が澄みきる。
微生物の活動が弱まる冬の時期に造られる酒は、キメ細やかで風味も優れているため、品質最優先の基山商店は寒造りを主体としている。
ここ基山は、まさに酒造りの環境に適した土地。
【水と蛍】
背振山系に降り積もる雪が、長い年月をかけて山にしみ込み、自然のフィルターで浄化され、伏流水として基山の町に流れてくる。
代々蔵元は、この軟らかで軽い口当たりの上質な水を仕込み水として使い、日本酒造りに勤しんできた。
自然豊かで水に恵まれた蔵の周りには、夏になると無数のホタルが飛び交い、人々を楽しませている。
この基山の美しい水が、繊細かつふくらみのある基山商店の日本酒を生み出している。
【職人の酒米】
基山商店の酒造りにおいて欠かせない酒米のひとつ、それが地元基山で作られる山田錦だ。
日本酒に使う米は、造る過程で磨くため、食用米と異なり大粒で心白がある特別な米。ゆえに稲も大きく育つため、酒米の生産は容易ではない。
基山の酒米生産者の中でも一目置かれる酒米づくりの職人がいる。町外れの田園地帯にひと際高くそびえる稲穂。それが職人の田んぼだ。
天候に左右される米づくりだが、その時の状況に合わせて細やかな気配りと作業を繰り返し行う。毎年違う顔を持つ自然と真っ向から向き合い、愛情を持って育てる。職人の作る上質な酒米が基山商店の酒造りを支えてくれている。
【日本酒離れ】
日本人に愛され飲まれ続けてきた日本酒。
「一升瓶に湯のみスタイル」晩酌の定番だった日本酒は気軽に飲める酒として、日本人の癒しだった。
時代の流れとともに欧米化が進み、輸入酒があふれ、いつの間にか日本酒は影を潜めていく。
日本酒に対するイメージも昔とは大きく変わっていった。
伝統や歴史、蔵人たちのこだわり。きめ細やかで丁寧な日本人が醸す日本酒。
そんな上質な酒の未来を危惧する次世代の蔵人。基山商店の四代目姉弟も同じだった。
【変えることは守ること】
2014年、4つある蔵のうちの1つが老朽化により大幅な改修を余儀なくされた。
蔵は歴史的建造物であるので、後世に残すことも蔵元の使命。
当然莫大な資金を投入しなくてはいけない。
ここで三代目は大きな決断をする。
蔵を守ると同時に、現代に合ったカタチのギャラリーやイベントスペースへと変えたのだ。
すべては日本酒をもっとたくさんの人に知ってもらうため。
【二羽の鶴】
蔵を再生した年、三代目から四代目姉弟が酒造りを本格的に受け継ぎ、基山商店は新たな体制を整え始めた。
基峰鶴をはじめ数多くの銘柄を造ってきた基山商店。
三代目から酒造りのノウハウを学んできた賢一郎と基山商店の酒を全国に広めようと奔走する綾子。
「二羽の鶴」が想いを受け継ぎ羽ばたき始めた。
【守るという重圧】
日本酒を造る蔵元は全国に1,500以上あり、工業技術が進んだ今もなお、少人数で酒を造り続けている蔵元がたくさんある。
市場が縮小している中、大手メーカーや有名な銘柄を持つ蔵元以外の生き残りは厳しく、何百年も続いて来た歴史ある蔵元は年々減少していくばかり。
伝統と歴史ある蔵元を受け継ぐ、そして守っていくという重圧は並大抵のことではない。
四代目姉弟も日本酒業界が置かれている現状と基山商店を未来へとつなぐため、もがき苦しんでいた。
そんな出口が見えぬトンネルをひたすら進む日々からなんとか抜け出すために姉弟は動き出す。
【壁と破壊】
地元の人に旨い酒を飲んでほしいとの想いで酒造りを続けて来た基山商店。
新しいコトをやろうとすると今までのファンや地元の人たちに批判されるのではないかという不安。
しかし時代の流れが変わっていく中で、このままではこの酒が取り残されていくという危機感の方が強かった。
旨い日本酒を造ることは当然のことながら、どうしたら次世代の人たちに飲んでもらえるか。姉弟は、自分たちが今までとらわれてきた概念を捨てた。
【チャレンジ】
2015年、1つの転機が訪れる。世界中のワイン業者から最も注目されている世界最大規模のワイン品評会、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)に賢一郎が醸した酒を出品。
初出展にも関わらず、SAKE部門にて金賞を受賞したのだ。
地元で愛され続けて来た基山商店の日本酒が踏み出した新しい一歩だった。
【姉弟の融合】
蔵での姉弟の役割は明確に分かれていた。
酒造りをする賢一郎、そして広報活動に従事する綾子。
今まではそれでやってきた。しかし、何かが違う気がした。
全国各地を飛び回り女性の観点で日本酒を見て来た綾子と賢一郎が培ってきた酒造り。この2つをうまく融合されることができれば、新しい化学反応を起こせるのではないか。
日本酒の文化を新しいカタチに変えて伝えていくため、姉弟の挑戦が始まった。
【温故知新】
まず2人は基山商店の歴史や酒造り、基山という土地について改めて「知る」ことから始めた。
当たり前にある環境だからこそ知らないこともたくさんあった。
歴代の酒造りへの想い、生まれ育った町やそこに住む人たちのこと。それらを知らなければ新しいものなど造れないと考えたからだ。
答えはシンプルだった。
いつの時代もどんな時も旨いものを造る、それを造る上で欠かせない大地の恵みがあり、携わるたくさんの人たちがいたこと。
そして、基山商店の酒を飲んでくれる人たちを喜ばせること。
【今を知る】
日本酒の現状も徹底的に調べ上げた。業界の現状から消費者の日本酒に対するイメージに至までありとあらゆるリサーチを行い、新ブランドの日本酒は、今まで日本酒を飲む機会が少なかった若者層や女性にフォーカスを当てた。
仕込む前から飲んでくれる人たちを思い描き、どうしたら若者や女性に興味を持ってもらえる日本酒になるか、姉弟で徹底的に議論を重ねた。
造り手と売り手だった姉弟だけに、時には意見が合わないことがあったが、お互い今まで見えていなかったことや見方を変えることができ、2人の想いが1つに重なっていった。
【温故醸す喜び】
自由な発想、斬新なデザイン、オシャレで飲みやすく、飲む人たちを素敵に演出するような日本酒。
色んな壁にぶち当たりながらも、それ以上に日本酒を造る楽しさを実感していった。
飲む人を楽しませるためには、造り手も楽しまなければならない、そう気づいた。
そして基山商店の日本酒は、たくさんの人たちの支えと基山の自然の恩恵を受けて出来ていることに喜びを感じながら愛情を持って醸す。
【誕生】
四代目小森姉弟が基山商店の酒をもっとたくさんの人たちに伝えるため、現代のライフスタイルにマッチした日本酒を提案していくために立ち上げた新ブランドRAKES(レイクス)。
歴代の蔵元達が、その時代や人に合わせた酒造りをしてきたこととシンクロするような、酒造りへの情熱と挑戦。
姉弟の「第一章」がここに誕生した。
基山商店について
背振山系の基山の麓、佐賀県基山町に基山商店はあります。
山から湧き出る良質な水や基山の豊かな自然の恵みを活かし、初代・小森初蔵より現在に至るまで、旨い酒を飲ませたいという一心で酒造りを行っております。
小規模だからこそできる丹誠込めた酒造りで、品質最優先の姿勢を崩さず、「地方での特色ある酒造り」をモットーに、こだわりの酒造りをしています。
主要銘柄は、「基峰鶴(キホウツル)」
2015年、英国で開かれた世界的に最も権威のある品評会の一つ、「IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)」の大吟醸・吟醸の部で金賞を獲得。
2016年、ミシュランで数多くの星を獲得している世界的に有名なジョエル・ロブションで基峰鶴ブランド取扱い開始。
商品に関するお問い合わせ先
合資会社基山商店
佐賀県三養基郡基山町大字宮浦151
TEL:0942-92-2300 FAX:0942-92-0181
Website:kihotsuru.com